2023年11月8日水曜日

【My first India trip】② インドの空気

インドの空気はビザの申請段階から薄々感じていた。

以前よくインドに行く人達が大使館でのビザ申請が面倒でー、なんて話をよくしていたので大変そうだなぁと思っていたが、最近ではオンラインで申請が出来るようになったとの事で、PCを前に軽い気持ちで申請しようと思ったら、入力項目の多さと申請フォーマットのややこしさに2時間以上(いや、もっとかかったかも!?)もかかってしまい、なるほどこれがインドかと行く前からわからされた気持ちだった。

出発の前夜、オーストラリアから我が家に約3週間滞在していた友人と旦那と共に家の近所に夕飯を食べに出かけた。
その店は普段地元の人でにぎわうお店で海外の方をお見かけしたことは一度も無いのだが、
この日は珍しくインド人らしき人達が数人テーブルにいた。

彼等はインドのムンバイから出張に来ているとの事で、インドからとっても辛い唐辛子を持ってきたらしく、お店のオーナーがその唐辛子を使ってカレーを作ったので食べてごらんという事で少し食べたら、激辛。
まあこれもインドトリップの良い練習だななんて言いながら。でもまじで辛かった。いく前からお腹壊しそうなレベル。
そして明日からインドに行くと言うと、まあまあの圧で色々と話してくれたんだけど、インド訛りの英語に耳と脳みそが追いつかず2割くらいしか聞き取ることができず、またしてもこれがインドかと行く前からお腹とコミュニケーションに不安を覚えながら出発の日を迎えたのだった。

マレーシア経由でチェンナイ空港に到着し、飛行機から降りるとむわっとした暑い空気。
時刻は午前11時。
きっとすごく並ぶのだろうと想像していたイミグレーションはがらがらで、2.3人待ってすぐに自分の番になった。
宿泊先など聞かれてティルバンナマライに行くと言うと「アシュラムに行くのか!いいね!」と強めの口調で言って、首をくねくね傾げながらスタンプを押してくれ無事に通過することが出来た。良かった良かった、聞き取れた。

離れたカウンターにいたはずの和美さんが不安そうに「ちょっと通訳~!」と私を呼ぶ。笑
和美さんの担当のおじちゃんは、今度は私に質問してきたと思ったら謎の鼻歌を歌い始めた。
そして私の担当だったおじちゃんはアシュラムでは瞑想するのか?とか、お祈りするのか?とか、自分も行った事があるからとわざわざブースから出てきて嬉しそうに話しかけてくる。

えっと、、入国審査ってこんな感じだったっけ?笑

空いていたという事も大いに関係しているのではないかとも思うけど今まで経験したイミグレーションカウンターの中でのナンバーワンゆるカウンターだった。笑

空港を出るとインド在住の友人まりさんの顔をすぐに見つける事ができた。
右も左もわからず不安な私達の為になんと3時間半もかけて空港に迎えにきてくれたのだ。
こんなにありがたいことは無い。

ゴロゴロ荷物を引きながら歩き始めると寄ってくる沢山の人達。主にはタクシーの客引きだったと思うが、まりさんについていくのに必死できょろきょろする余裕もほとんど無く。
ただただ、想像の中の世界だったインドが現実にここにあるんだという感覚だけがあった。
まりさんから「全部無視してね」と言われた通りに無視して進む。

メトロに乗ってバスターミナルへという事で、空港からメトロに向かって歩き進む道がぼっこぼこ。そのぼこぼこの道に耐えきれなかったのか10年近く一緒に旅をしてきた80リットルのキャリーバッグのタイヤが割れた。笑
まぁ経年劣化していたのだと思うが、インドの道なめちゃいけないってことがわかった。
幸い、内側のタイヤが生きていたので不安要素ありすぎながらもごろごろと引き続けた。

まりさんに先導してもらい想像していた以上に快適なメトロでバスターミナルの駅へ。
駅からバスターミナルまでの道がまたやたら段差が多い。
あと、やたら地面に人がいる。
バスターミナルでは床に寝ている人たちがそこらじゅうに。

まりさんが目的地へ向かうバス(しかもエアコン付き!)を見つけてくれて、こっちこっちと呼ばれる先へ。そして初めてのバス。
ぎゅうぎゅう詰めのでちょっとはみ出たりしちゃう感じのバスを想像していたけど、乗客も少なくとても快適な移動だった。

窓のカーテンは全て閉まっていたんだけど、せっかくだから外の景色を見たいとカーテンを開けると「エアコンバスだからカーテンをお閉め」と注意される。
仕方ないのでちらっと手でカーテンを引いてその隙間から外をのぞいた。

鳴りやまないクラクションや交通ルールなんて無いに等しい道路状況はスリランカでも経験していたが、ちょっとレベルが違う気がする。なんせ人口が多い。
ノンストップで行きかう車とオートバイ。オートバイは3人乗りくらいは当たり前で4人乗りとか5人乗ってる家族もいた。そしてオートリキシャに自転車に、ゆっくり歩く人々と地面に座ったり寝転んだりしている人々。
大きな町から小さな町へそして田舎へを何度か繰り返した。
途中、小さな町で車を囲んで太鼓をたたいたりしている人達がいてお花も沢山散りばめられていて、なんだろうお祭りかな?と目をこらすと車の上に人がくくりつけられていて、その周囲がお花で飾られているのが見えた。

どうやら亡くなった人をみんなで送っているようだった。
まるでお祝い事の様な賑やかさだったけど、肉体からの解放を祝うというのは輪廻転生がベースにあるインドでは当然のことなのだろうか。

インド人の死生観のほんの一部を垣間見た気がしたけど、実際のところあれはどういう事だったんだろう。
何しろ初めてのインド。
見るもの触れるもの全てが新しくて、頭の中にははてながいっぱい。

うとうと眠ったり起きたりを繰り返しながら、数時間が経ち運転手さんにここで降りろと言われたところで降ろされた。

寝起きだし、ここはどこですか?状態だったけど、どうやら滞在するアシュラムへ行くにはここで降りたほうが良いらしく、そこからアシュラムへ行くためにまりさんがオートリクシャをつかまえてくれた。ドライバーとまりさんが値段の交渉をしている姿を見ていると、たくましさがないとここではやっていけそうにないなと感じた。もしくは黙ってぼったくられるかのどちらかだ。

まりさんのおかげで、通常よりは少し高かったらしいが私にとっては乗せてもらえるだけでありがたい初めてのオートリクシャに乗車。
まるでゴーカートのように猛スピードで町を細い路地を駆け抜けていく。
商店街は色とりどりの様々な店と、行き交う人々の姿。
オートリクシャは狭いところやそこは流石に無理だろー!と言うところにもがんがん突っ込んでいく。胸の中に恐怖と面白さが同時に起こっていた。

スリル満点の数分間のアトラクションが終わり、ついに目的地に到着した。

時刻は夕方6時。
埃っぽい通りには行き交う車やオートバイ、そして沢山の人が歩いている。

既に辺りは薄暗く、夜が始まろうとしていた。