2023年11月15日水曜日

【My first India trip 】③アシュラムでの日々が始まる

オートリキシャを降りて少し歩くとすぐにアシュラムのゲートが目に飛び込んできた。

SRI RAMANASRAMAMと書かれた緑色のアーチ型のゲートの中を人が出たり入ったり行き交っている。

緊張しながらゲートをくぐり、マリさんに言われるがままに階段の前にキャリーケースとサンダルを置いてオフィスへ向かった。
荷物から目を離した隙に盗られやしないだろうかと心配する私たちに、「あんな大きくて重い荷物誰もとらないよ」とマリさんが笑う。

私のキャリーケースの中にはお土産のお米などが入っていてとても重いし、和美さんはもしかしたら生地とか爆買いしちゃうかもしれないからと、とても大きなスーツケースを持ってきたのだ。確かにこんなに大きな荷物は盗むのも厄介だろう。とはいえここはインド、ちらちら荷物に目をやり気は抜けない。

オフィスには数人のインド人がいるが、肝心のボス的な人がいないらしくしばらくドアの前に腰掛けて待つことにした。

この日はナヴァラートリーというヒンドゥー教の女神を讃えるの9日間の祝祭が始まる最初の日で、もう一つ階段を上がった白い建物のあたりに人が集まり始めていた。

しばらく待っていると、白いシャツに白い腰巻をした大柄のおじさまが現れ、マリさんに「あっ、きたよ」と教えてもらいオフィスへ入室した。
私がアシュラムに関してマリさんから事前に聞いていた事というと「アシュラムを牛耳ってる人がこわい」ということだけだった。
というわけで、オフィスに入る時の気持ちはまるで校長室か社長室に入る時の様な気分。

今日から宿泊予定の者ですと伝えると、おじさまは一ミリも笑顔を見せる事なくパスポートを出せだの予約を証明できるものを出せだのおっしゃるので、その都度もたもたしないように緊張感と礼儀正しさをもって書類を見せながら答えた。

あまりの緊張感にいつの間にか和美さんは入り口で見守るマリさんの横に戻り一緒に私を見守っている。
一緒に泊まるんだからそんなところで見守っていないでほしい。一人にしないで。笑

無事に部屋の鍵を渡され、おじさまは私にはさっぱりわからない謎のジェスチャーをマリさんに送りマリさんはそれをキャッチしていた。首をくねくね傾げるおじさまにお礼を言いオフィスを後にした。
「あれでどういう事かわかったの!?」
「うん、あっちだって〜」
マリさんがいなかったら部屋にも辿り着けなかっただろう。

サンダルを履き再び荷物を引きながらゲートを出た。
バイクやリキシャが行き交う通りを渡り路地を曲がったところにアシュラム運営のゲストハウスはあった。

門の中は植木などもよく手入れされていて広々としていた。
部屋の中も想像以上に広く、中央にシングルベッドが2台並べて置いてあり天井には大きなファン、そしてクローゼットとデスクがありシンプルながら綺麗に保たれていて快適に過ごせそうな部屋だった。中庭に面して大きな窓とバルコニーまで付いている。

とりあえず無事に今夜の寝床に到着できてほっとした。お部屋も綺麗だし安心してようやく緊張が緩んだ。
もうこのままここで眠ってしまいたい気分だったが、少し部屋でみんなで話をした後に再びアシュラムへ戻り、マリさんにアシュラム内を案内してもらいながらディナー待ちの列に並んだ。
「後は大丈夫そうかな?何かあれば連絡してね」
マリさんとはここで別れた。
朝早くから一日色々とケアしてくれて本当に有難かった。ありがとうマリさん。

そしてチェンナイの空港を出て以来初めて二人ぼっちになり、再び緊張する私たち。
ディナーに並ぶ列は長く、ほとんどの方がインド人で外国人は私たちの他に西洋人が一人か二人。すぐ横にはメディテーションホールがあり、中では瞑想している人たちがいる様子でとても静かだった。

19:30になるとゴンゴンゴーンと鐘がなり、ダイニングホールの扉が開かれとにかく列についていけば良いだろうと階段を上がり室内に飾られる沢山の写真を見ながら前の人に付いて行った。流れのまま席についたのは部屋の周りにぐるりと配置されたテーブル席だった。
後から入ってくる人たちは床に座っている。流れのままに椅子に座ってしまったけど、私たちここに座っちゃってよかったのかな?などと思いながらも隣の人を真似て、テーブルの上のバナナの葉を広げ水をかけ右手で拭う。
そこへブリキのバケツに入ったお米を持った男性がやってきて柄の長いお玉でご飯を置いてくれた。続いて同じようにカレーをベシャっとかけてくれて、いただきますと両手を合わせてから右手で混ぜながら食べ始めた。
和美さんと小声で「おいしいね」とお互い頷きながらの嬉しい初めての食事となった。

そこへ更に赤い梅干のような酸味と辛味のあるペーストと、ヨーグルトもやってきて最後はぐちゃぐちゃに混ぜて全て美味しくいただいた。

私たちの正面に座っていた小さな子供たちがこちらを見ながら笑っているのが気になっていたが、ダイニングホールを出て手を洗い終えたところで、「どこからきたの?」と聞いてきた。
「日本だよ」
「へー!名前は?」
そんな些細な会話だったが、そうか私はここでは外国人で物珍しい存在なんだなぁと実感した。

部屋に戻り、ほぼ水のシャワー(というかバケツ)で1日の汚れを流しさっぱりして、ベッドに寝転がった。

「次来る時は麻子さん一人で来てね。私、もう無理。」
「とんでもないところに来ちゃったなぁって思ってるよ」そう言いながら笑う和美さんの顔は半分笑っていたけど半分本気だった。

ちょっと待って、まだ1日目だよ。
これは長い二週間になりそうだ。笑


アシュラム内は撮影禁止となっていた。

ゲストハウスの部屋の外。

唯一撮った部屋の写真。
ゴミ箱を抱えて気持ちを落ち着ける和美さん。