2023年11月23日木曜日

【My first India trip 】④ マインドフルな食事

そんなこんなでアシュラムでの日々がスタートして、幸いな事に宿泊する部屋は快適でアシュラムでの食事もとても美味しくて、右も左もわからない初めてのインドで安心できる空間に居られる事をとても有り難く感じていた。

食事は朝7:00、昼11:30、夜19:30と毎日三食が提供される。
それぞれ時間になるとゴングが鳴りダイニングホールの扉が開かれ、階段を上がり入場していく。

朝はイドゥリーという白くて円盤型のお米の蒸しパンにカレーが1.2種類にチャイ。初日は初めて食べるイドゥリーに興味深々で盛られるがままに3個もらったが、独特の酸味と食感がちょっと苦手な感じがして、二日目からは一個だけ頂いた。和美さんは気に入ったらしく喜んで食べていたけれど。


お昼はご飯に数種のカレー、サクサクの揚げ物や時には甘いデザートが付くこともあった。
お昼ご飯が一番バラエティーに富んでいる。
食事の時間は、最初の数回は緊張しながらだったが回を重ねるごとにその場の空気に慣れて行った。

床に座ってバナナの葉を広げ水で清め、バケツから配られる配給を待ち、どさっとご飯が盛られ、ベシャッとカレーをかけられたらそのそばから右手で混ぜながら食べる事にも慣れた。時には買ったばかりの白いクルタ(インドのチュニックドレスのようなもの)にカレーが跳ねることもあったがそれにも慣れた。
インドの人達は汁も上手に集めて手ですくう。私も徐々に上達したが、数日いたくらいではインド人のようには上手くならなかった。

食事を終えるとバナナの葉を半分にたたんですぐに床から立ち上がり、右手をグーにして退出の列に加わり外に出て水道で手を洗う。そんな一連の流れを繰り返す度にその場に馴染んでいく感覚が心地良かった。
同じ事を繰り返すことの心地よさを再発見した。
そして初めて食べる料理の数々に目で指で舌で味わい無言で黙々と食べるという事で自然とマインドフルな食事が出来たのも良かった。毎日の毎度の食事を無駄な話をせずただただ食べるという行為だけに集中するというのは自分の日常の中ではなかなか出来ない事だ。

毎日三食スパイス料理だったけどお腹を壊すこともなく(といっても出発前に思いがけず食べる事になった激辛カレーのおかげで出発前から若干ゆるめではあったが、、)ピュアベジタリアン(インドの不殺生ベジタリアンなので乳製品は食べる)のフレッシュでヘルシーでサトヴィックな食事により食べたら出る食べたら出る、というとても良い状態になっていった。

この食事がカルチャーショック真っ只中の私たちの心を癒してくれたのは間違いない。


4泊目の夜、ダイニングホールの床に座ると隣には今日到着したばかりの様子の西洋人の男の人が着席した。直前に買ってきたのだろうかピカピカでまだシールがついているステンレスのちょっと深さのある小さめのお皿をバナナの葉の上に置いて、スプーンとフォークを用意していた。さてこの小さなお皿にどうやって食事を盛るのだろうかと気にして見ているとまずご飯がそのお皿にどさっと盛られたけど完全にはみ出している。
それに続いてカレーやギーやヨーグルトをかけてもらってたけどもう全部めっちゃはみ出しちゃって結局ものすごく食べずらそうだ。その上お皿が小さいもんだから量も少なくてちょっとかわいそう。まあ2周目のご飯が回ってきておかわりしてからお腹は満たせたのだと思うけど。
「これ辛い?」と聞いてきて「そうでもないよ」と教えてあげたけど、そんなことより本当はそのお皿ない方が食べやすいと思うよと教えてあげたかった。笑
色んな文化、色んな価値観があるのだとは思うけど、郷に入りては郷に従えという言葉が浮かんだ出来事であった。


それにしてもインドトリップのスタートがアシュラムステイで本当に正解だった。
不慣れな土地で食事の度にレストランなどを探すのはとても大変だし、食べるのもによって体調も大きく変わるからその後の旅を左右することになる。
アシュラムのご飯は南インド料理なのでもちろんスパイス続きではあったけれど、全体的にとても優しい穏やかな食事だった。なにしろ本当に美味しかった!
ここでの10回の食事の経験は食べるという生きる上で大切な事を改めて色々と考えさせてもらえた貴重な体験となった。


話は変わるが、ダイニングホールの入り口には毎日あのオフィスのちょっとこわいおじさまが立っていて、列に並ぶ人々をチェックしている。
たまに「お前ら宿泊してないだろ!」って感じではじき出されている人達がいたけど、宿泊者である事を示す目印があるわけじゃないのにあれだけの人数の人の顔を把握しているというのは凄いなぁと感心した。紛れ込んで食べに来る人がいてもおかしくないと思っていたけど、あのおじさまの鋭い目はごまかせないようだ。